海外を旅していて、そこに住まう人々の生活の「衣食住」のバランスがとても居心地良く感じることが多くあります。
衣食住のどれかが突出しているわけではなく、成熟している国の人々はそれなりに身なりが整い、気軽に美味しいものが食べられ、そして清潔で美しい街に住みます。建物の新旧にかかわらず、通りに面した窓先に色とりどりの花が彩られ、街路樹沿いにきれいに整えられた芝生が同じ奥行で並び、一定の調和のとれた、心安らぐ住まいの場を垣間見ることができます。
日本に帰ってくると、残念ながらそのアンバランスさに少し寂しさを感じます。毎日目にする街並みや佇まいの美しさ、デザインされた空間が人々に与える影響は計り知れないと思っています。既にある街並みを変えることはできませんが、少なくとも私に依頼くださった方々には、真に居心地の良さや豊かさを感じて頂きたいと思い、日々仕事に取り組んでいます。
今日本では、集合住宅も含め現存する建物で十分な余剰があります。特に昨今の建築資材が高騰している状況下では、今ある建物を活かしてリノベーションして住んでいくことのメリットが大きく、私自身も積極的に推奨していきたいと思っています。新築よりも設計者や施工者の手間はかかりますが、微力ながら環境への配慮も設計者の使命と考えています。
最後に、住宅は生活そのものであり、癒しです。元気な日もそうでない日も優しく寄り添ってくれる懐の深い住宅の設計を心がけています。