photo by Masao Nishikawa
築46年(転居当時)の団地のリノベーション計画である。多くのいわゆる「団地」に見られる約50㎡程度の壁式構造の一般的な間取りで、私の自宅兼事務所である。
真南かつ十分な間隔で配棟された高台に建つこの4層の建物は、真冬はたっぷりと日が降り注ぎ、日中はとても暖かい。日射による蓄熱効果に期待し、DKはタイルを敷き込んだ。北側の1室とDKの壁を躯体ギリギリまで取り払い、木製の3枚のガラス引戸でゆるく間仕切れるようにした。これにより南北に正対した窓から光と風が効率よく取り込まれ、室全体の快適性が向上した。あえてワンルームにしなかったことで仕事とプライベートのオンオフの切り替えがうまくでき、また空調効率という点でも、この3枚のガラス扉が思っていた以上に有効であった。
キッチンは、前職から長年お世話になっているフリーハンドイマイさんに依頼し、細かい部分まですべてオーダーで製作した。家具といえどもキッチンは特殊で、使い勝手やメンテナンス性が重要である。イマイさんはこだわりの多い施主のキッチンの製作を数多く手掛けられているため、知識が多様かつ豊富で、また様々なメーカーの機器類の情報も常にアップグレードされていて、いつも非常に頼りにしている。
お風呂は前居住者が、いわゆるハーフユニットバス(壁天井、浴槽のみユニットバス)に改修していたが、浴槽と壁を取り払い、床壁共にモールテックスの塗装で仕上げ、設備機器類を一新した。
丸テーブルやサイドボード、ワークルームの本棚は、友人のフランジの上田さんにお願いした。彼自身のオリジナル家具の製作・販売がメインだが、設計者の要望に応えた造作家具も快く引き受けてくれるため、私の物件の多くで造作家具をお願いしている。
団地の魅力は語りつくせないが、私が一番気に入っているのはなんといっても窓から見える緑と降り注ぐ光である。天気の良い日は窓を開け、そよ風と小鳥のさえずりが心地よく入り込む。天日で干された寝具につつまれて気持ちよく眠る。住環境にとっての豊かさというのはこういうことだとしみじみ感じている。